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2025年2月3日局所排気装置の定期自主点検項目と怠った場合のリスクを解説

近年、労働基準監督署による抜き打ち監査において、局所排気装置の点検について指摘を受ける事業所が増えています。

塗装作業などに欠かせない局所排気装置は、労働安全衛生法により定期的な自主検査が義務付けられており、必要に応じたメンテナンスの実施も求められています。

本記事では、局所排気装置の点検について、主な点検項目や点検を怠った場合に生じるリスクについて詳しく解説します。

 

局所排気装置の定期自主検査について

1年に1回の定期自主検査が義務付けられている

局所排気装置を所有する事業者は、1年以内に1回の定期自主検査を実施することが法律で義務付けられています。また、実施した点検の記録は3年間の保管が必要です。

塗装作業場では有機溶剤が発生しやすく、局所排気装置を長期間使用すると排気効率が低下する可能性があります。作業者の安全を確保するためにも、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。

点検者は研修を受けることが推奨される

局所排気装置の自主検査を行うために特別な資格は必要ありませんが、専門知識が求められるため、「局所排気装置等定期自主検査者研修コース」の受講が推奨されています。

この研修は3日間にわたり実施され、座学では局所排気装置に関する基礎知識や法令について学び、実技ではファンやフードの検査方法を習得します。

厚生労働省の「局所排気装置の定期自主検査指針」に基づいた内容となっており、受講することで点検に関する総合的な知識を身につけることができます。

 

局所排気装置の主な点検項目

局所排気装置の点検では、多くの項目をチェックする必要がありますが、大きく分けると以下の3つのポイントが重要です。

フードの確認

フードは局所排気装置の吸引口にあたり、有機溶剤を作業場に拡散させないために常に適切な吸引力が求められます。

定期自主検査では、風向・風量・風速を測定し、正常な性能が維持されているかを確認します。

ダクトの確認

フードで吸引された有機溶剤などの有害物質は、ダクトを通じて屋外へ排出されます。ダクト内部に塗料カスや異物が蓄積すると、排気能力が低下する恐れがあります。

また、ダクトの接続部(フランジ)に緩みや損傷がないかも確認する必要があります。

電気系統の確認

局所排気装置の多くは電力を利用して稼働しており、電気系統の異常は火災リスクを高める要因になります。

点検では、

  • 作動時の異音の有無
  • 制御盤や計器類の正常動作
  • 配線の破損や異常

などを、テスター等を用いて入念にチェックします。

特に、引火性の高い塗料を扱う作業場では、電気系統の故障が重大事故につながる可能性があるため、慎重な点検が求められます。

 

局所排気装置の定期自主検査を怠るリスク

局所排気装置の定期自主検査を怠ると、以下のような重大なリスクが発生します。

火災発生のリスク

フィルターの目詰まりを放置すると、フタル酸樹脂塗料などの一部の塗料が空気に触れ、発火する可能性があります。

また、有機溶剤は引火性が高いため、ボヤ程度では済まず、大規模な火災に発展する可能性もあります。

近隣への有機溶剤の飛散

局所排気装置は、有機溶剤などの有害物質を屋外へ安全に排出する役割を持ちます。

しかし、ダクトが劣化しひび割れや穴が発生すると、意図しない方向へ有機溶剤が飛散する恐れがあります。

これにより、近隣住民からシンナー臭などの苦情が発生する可能性があるため、早期発見・対策が必要です。

作業者の健康被害

有機溶剤の多くは人体に悪影響を及ぼすため、適切な排気が行われていない場合、作業者が健康被害を受けるリスクが高まります。

労基から是正勧告を受ける可能性

局所排気装置の点検を実施していない場合、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性が高まります。

さらに、是正勧告後も改善が見られない場合、書類送検されるケースもあるため、法令遵守の徹底が求められます。

 

局所排気装置の点検はメーカーに依頼するのが一般的

局所排気装置の定期自主検査は、研修を受けた担当者が実施することが望ましいですが、多くの事業所ではメーカーに点検を依頼するのが一般的です。

その理由として、

  • 研修受講に約85,000円の費用がかかる
  • 風速計や振動計などの高額な計測機器が必要
  • 点検に多くの工数がかかる

といった点が挙げられます。

厚生労働省の指針に則った点検を行うには専門的な知識が求められるため、大手企業を含め、多くの事業者がメーカーに点検を依頼しているのが現状です。

局所排気装置の適切な点検と維持管理を行い、作業環境の安全性を確保しましょう。

 

局所排気装置の定期自主点検は、当社にお任せください

今回は、局所排気装置の定期自主点検についてご紹介いたしました。

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