工場の生産効率を高める適切な室温
公益財団法人空気調和・衛生工学会の2004年の実験では、コールセンターの室温が25度から26度に上昇すると、1時間あたりの平均応答件数が7.75件から7.59件に減少し、作業効率が2.1%低下することが確認されました。
また、同年にコーネル大学のアラン・ヘッジ教授が行った研究では、アメリカの保険会社で室温を20度から25度に調整したところ、社員のタイプミスが44%減少し、タイピング量が1.5倍に増加したことが判明しています。
このように、工場の作業員にとっても適切な室温を維持することは作業効率の向上につながります。
厚生労働省監修の「産業医の職務Q&A」によると、日本産業衛生学会が推奨する作業環境の許容室温は以下の通りです。
- 極軽作業:32.5度
- 軽作業:30.5度
- 中等重作業:27.5~29.0度
- 重作業:26.5度
ただし、これらは許容基準であり、株式会社インテージホールディングスの調査では、内勤者が快適と感じる室温は25.3度、外勤者は24度前後とされています。
効果的な工場の暑さ対策(空調の効率化)
工場では多くの機械が稼働し、室温が上昇しやすいため、効果的な暑さ対策が求められます。ただし、冷房設備を無計画に導入すると電気代が増加するだけでなく、十分な効果が得られないこともあります。以下の方法を活用して、空調を効率的に運用しましょう。
スポット空調の活用
必要なエリアのみを冷却できるスポット空調を導入すると、無駄なエネルギー消費を抑えながら、作業環境を快適に保つことができます。特に、作業場所が固定されている場合に有効です。
ビニールカーテンによる空間の区切り
スポット空調が設置できない場合、ビニールカーテンで空間を仕切ることで、特定エリアの冷房効率を向上させることができます。冷却範囲を限定することで、電力消費を抑えつつ冷房効果を高められます。
断熱フィルム・断熱塗装の導入
窓に断熱フィルムを貼ることで、日射を遮断しつつ自然光を確保できます。また、屋根に断熱塗装を施すことで、工場内の温度上昇を抑えることが可能です。
吸排気フードの設置
工場内の温度上昇の大きな要因は、機械から発生する熱です。適切な位置に吸排気フードを設置し、熱気や蒸気を排出することで、室温上昇を防ぐことができます。
自動空調システムの活用
温度調整を自動化することで、作業環境を快適に保ちながら電力消費を削減できます。既存の空調設備に後付けできるシステムを導入すれば、コストを抑えつつ、より効果的な暑さ対策が可能です。
作業員の暑さ対策(便利アイテムの活用)
工場全体の環境改善だけでなく、作業員個々の暑さ対策も重要です。以下のアイテムを活用することで、作業環境の快適性を向上させることができます。
保冷剤付きベスト
ベスト内部に保冷剤をセットすることで、体を直接冷やし、涼しさを維持できます。
空調服
内蔵ファンが外気を取り込み、汗の気化熱を利用して体温を下げる作業着です。充電式バッテリーを搭載したものが多く、長時間の使用が可能です。
吸湿速乾インナー
速乾性の高いインナーを着用することで、汗を素早く吸収・蒸発させ、体感温度を下げることができます。
冷却タオル・マフラー
特殊素材を使用した冷却タオルは、汗を拭くだけで清涼感を得られます。水に浸して使うタイプや保冷剤を利用するタイプなど、さまざまな種類があります。
熱中症対策の徹底
適切な暑さ対策を施していても、作業員の体調や環境によっては熱中症のリスクがあります。以下の対策を実施し、熱中症を防ぎましょう。
熱中症の症状と対処法の共有
熱中症の初期症状(脱水症状、体温・脈拍の上昇など)や適切な対応方法をスタッフ全員と共有することが重要です。
水分・塩分補給の推奨
工場内に水分補給ができる環境を整えましょう。暑熱作業時には、20分ごとにコップ1~2杯のスポーツドリンクを摂取するのが理想とされています。
休憩スペースの確保
スタッフが自由に利用できる休憩室を設置し、室温を24~26度に維持しましょう。冷えたおしぼりや体温計を常備することで、迅速な体調管理が可能になります。
まとめ
工場の生産効率を向上させるためには、適切な室温管理と作業員の快適性を確保することが不可欠です。空調設備の最適化だけでなく、空調服や冷却タオルなどの便利アイテムを活用することで、さらに効果的な暑さ対策が可能になります。
また、熱中症対策として、スタッフ全員がリスクを理解し、適切な水分補給や休憩が取れる環境を整えることが重要です。適切な暑さ対策を実施し、安全で快適な作業環境を構築しましょう。